トピックス

2015年06月21日

斜面地

傾斜のある敷地には、なかなか家は建てられないと思っているかもしれませんが、私は大好きです。そもそも、初めてその斜面地で大胆な空間に遭遇したのは、ミシガンに住んでいたとき尋ねた音楽の先生の家です。

いつも同じ背広を着ていたので、お金持ちとは思っていませんでしたが、案の定、住所を尋ねると道から見えるのは平屋のつましい家でした。やっぱりと思って、どんどん前庭を通って近ずくと玄関が道路から少し下がったところにありました。幾つかのステップを降り玄関に入ると、そこは、中3階で、下へ下へと広がる空間は、最下階の庭からつながる湖へと繋がっていました。道路から見える建物のつましさと、中で広がる吹き抜けやダイナミックな空間のつながりが連鎖する豊かな拡がりとの落差は、見事に私の当て推量を裏切り、しかも2人のお嬢さんと奥様はお洒落で、まさにお知り合いの音楽家たちと演奏もするパーティーに招かれたのでした。

その後、何回もその湖沿いの邸宅に招かれて、バイオリンを弾いて合奏し、ヨットや水泳も楽しみました。同じ背広を年中着て小学校の先生をしているこの「ミスター・フェルプス」の実像は学校では想像できないものでした。

私はそれ以来斜面地に家を設計するのが大好きで、しかも、玄関のあたりからは小さく見える家を心がけています。

2015年03月13日

南向きはなぜいいのか?

できれば、真南に向いた部屋の多い家にしたいものです。

それは夏涼しく、冬暖かいからです。太陽高度(地面に対して太陽が射す水平角度のこと)は季節によって日々変化しています。夏至は78°、冬至は31°春分、秋分は55°が、関東地方の平均値。
夏はひさしが出ていれば、直射日光を遮ることができ、冬は窓からの日差しが太陽高度が低いため、部屋の奥深く入り込みます。夏は涼しく冬暖かい家となります。

45年前に建てた、南西向きの敷地の我が家は、冬は朝いつまでも寒くて、夏は夕刻の西日が強く、さらにコンクリートの屋根スラブが深くかぶっていて、夏の夜の二階では暑くて眠れない、温熱環境としては最悪の状況に住んでいました。今は木造の薄い屋根をRC の屋根の上にかけ、直射日光がスラブに届かないようパラソルをかけた状態にしたり、増築部が南東を向くように配置し、さらに今までなかった西側の隣家が西日をかなり遮ってくれるようになりました。南東向きのギャラリーの床材を陶板として、直射日光の冬の太陽熱を蓄熱することができています。

2015年03月03日

階段の極意

階段には場面転換の働きがあり、降りても登っても別世界が広がるのが魅力だと思います。
「いって・こい」・・・・・踊り場のある階段
「直線」・・・・・・・・・まっすぐ一方向で上がる
「螺旋」・・・・・・・・・くるくるまわる
最小面積で上下を繋ぐのが螺旋、一番経済的なのが直線、「いって・こい」は、階段下のスペースがもったいないので工夫が必要です。

kaidan

オットーワグナーの階段

ウィーンで活躍したオットー・ワグナーが設計した郵便貯金局の入口階段は、夢のような登り心地で忘れられません。どうしてでしょう。
階段の快適さは、踏み面(フミズラ)と蹴上げ(ケアゲ)の相関関係が大切な要素です。フミズラは広いほどいいですし、ケアゲは低いほど楽です。それぞれの寸法によって、身体運動に係る負荷が大いに違ってくるからです。
その階段の使用頻度や、使用者の年齢を考えてこの二つの相関関係を設定します。