冬は零下20度になることもある八ヶ岳山麓の標高1630mに立つ別荘。雪かきが不要となるような屋根勾配、太陽光だけで室内気温をある程度維持できるOMソーラーシステムを採用。冬でも、お日様さえ出ていれば、時々補助的に薪ストーブを焚くぐらいで、十分な室内環境が得られる。
彫刻家の夫が作った焼き物の模型。南に下がった傾斜地の南面に開口部と「お立ち台」が、東側に出窓、屋根にソーラーパネルと薪ストーブの煙突がある。
敷地の北側に道路、南側の斜面の下に沢。南側に深い広葉樹の森と川のせせらぎが楽しめるロケーション。
北側の駐車場から、2寸勾配のグレーチングを埋め込んだスロープでアプローチする。グレーチングは雪が積もらなくていい。R屋根のかかったコリドール(外廊下)の奥に、玄関扉。その手前までで、外から帰って来た時に雪をはたいたり、雪遊びの道具をおいたりできる。
逆の南側の沢から見上げると、南斜面に向かって開いた地下1階のRCのアトリエ部分と1階のリビングが見える。
撮影/秋山 実
西側外観。左の横張りの部分が、玄関手前のコリドール。屋根は、雪下ろしをしないで済むように、南面で5寸、北面で7.6寸勾配とした。
スロープ、コリドール、デッキを経て、薪ストーブと南面に大きな出窓のある広いLDKに入る。キッチン、洗面、トイレの水回りは凍結防止のため最短経路の配管になっている。
木製の大きな窓を閉めれば室内、開け放てば室外となるデッキ。屋根裏までガラス窓で、外の自然と一体となった空間。外に「開拓小屋」が見えている。私の一番のお気に入りの場所。
季節によって違う表情を見せるお立ち台は、この家の一等地。
LDKから南面の森を見る。室内というよりは、景色の中に浮いて居るような感じ。
台所は大勢でワイワイと囲んで作れるよう、IHクッキングヒーターを組み込んだ、調理台と食卓を兼ねたキッチンテーブルを作った。
窓のプロポーションは、正方形よりも少し横長。風景がパノラミックに展開する。
東側の三角出窓を横から見たところ。手を伸ばせば開閉できる角度にあり、出窓から見える空は、鳥の飛翔空間を切り取ったような高さになる。