古い教会の集会ホールのリノベーションを依頼された時、低い天井の裏に梁せい950が眠る空間を見つけて、うれしかった。大好きなサイクロイド曲線(ルイス・カーンのキンベル美術館)のアーチの天井にしよう。ここはヴァイオリンのレッスンもするところなので、音響効果も良くなる。何より楽しい曲線に守られる空間ができた。
渋谷のビルの間の建物の1Fにあるこの集会ホールは、南側なのに窓からの採光は全くない。黒いガラス面を、シェードカーテンで色面として見せている。正面は十字を意識した収納扉で両サイドが真ん中へ引かれる。
3F建てのビル全体が教会になっている。リノベーションしたのは、1Fのエントランス(青色の部分)と、ホール(赤色の部分)。
断面図。集会所の天井と上階の礼拝堂の床面との間に空間があったのを利用できることが分かった。上階の礼拝堂には、親子室を増設。
リノベーション前の集会ホールの様子。
元の天井をはがし、間接照明で照らされた、サイクロイド曲線のアーチをもつ天井を新設した。天井には、鯨の骨のような同じ断面の木製の枠が90センチピッチで組まれている。
集会ホールのメインの講話台の裏に、十字架をモチーフにしたデザインの壁面収納を作り付けた。扉は、2200の高さがあるが、どの部分も3✕6の材料の範囲で出来ている。
集会ホールよりカーテン越しに北面の庭を臨む。天井のアーチの終端は、既存サッシと縁を切ってある。ピアノの向こうの打合せ室とのパーティションは、ポリカ入りの180cm幅の大きな引き戸二枚で仕切る。
集会ホールからエントランスを臨む。入口は木製建具の引き明け戸になっていて、その裏に、廊下からも、こちらからも使える収納が潜んでいる。
リノベーション前と後の廊下。木の内装にすることで、明るくなった。
リノベーション前のエントランスを、外側からと内側から見たところ。
リノベーション後のエントランス。通りから見た印象も明るく、ナチュラルな感じになった。